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海の古書店

本のこと、心に浮かんだことを綴ります。香りのお店「Atmosfera」:http://atmosfera-kamakura.com/ お問い合わせ: books@good.memail.jp


by uminokosyoten

海辺の本棚『魔女のひきだし』

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闇があるから光が見える。
闇と光をつなぐ役割を担う人、それが魔女。
そして、闇と光のはざまから生まれるのが物語。

角野栄子さんが世界中の魔女を訪ねて感じた人間の精神世界の紀行文。
これは角野さんの感性を支える知性の旅の記録でもあると思いました。
思いの奥底にあるものを静かに見つめて、
それを自らの表現の源にできる力。
角野さんの素晴らしさはそこにあるのだと感じました。

また、『ティファニーで朝食を』の主人公ホリー・ゴライトリーが大好きでいらして、
彼女によく似た魔女性を持つ女性との出会いと別れを綴った文章は、
一編の小説のように美しく心に残りました。


<もしかしたら聖女と魔女は反対のように見せかけながら、
どこかでちゃんとつながっているのではないだろうか。
人の心にも光と闇があって、あるときは光の中で笑い、
あるときは闇に身をかくしたりもする。
それは二つを分けてどちらを取るというものではなく、
ごく自然に一緒にあるものではないだろうか。
生があって死があって、それがつながっているように。
人の居場所もその繋がりの中にある、
そう考えると、なにかとても気が楽になった。>(P.76)



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『魔女のひきだし』→


東逸子さんの絵も幻想的で素敵です。






by uminokosyoten | 2018-08-31 07:46 | 本読み便り