読書『おばあさんになるなんて』

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童話作家神沢利子さんのエッセイ集。
なんども読み返すところがあって、
図書館からお借りして2週間では足りずに延長希望。
4週間もそばにいてもらった本でした。


童話を創る。
それは幼い気持ちではできないこと。
かと言って、大人の気持ちだけでもできないこと。

神沢さんの人生を振り返られての言葉をたどりながら、
険しい道のりを越え、昇華させた「結晶」を持たなければ、
幼い人たちの心に残り、
それからの人生を照らすことのできる言葉は紡げないのだと感じました。

厳しい試練と同じくらい美しい思い出もお持ちでいらして。
まるで小説のように反芻させていただきました。

自分を包み隠さず語ることは、
童話作家と呼ばれる方にとっては大きな冒険だったのかもしれません。
でもその冒険の先で神沢さんを待っていたのは
大海原で弓なりにジャンプするクジラたちの伸びやかさ。
この文章を語られて初めて
神沢利子さんはご自分のミッションを果たされたのだと思いました。


<長年童話を書いて来ましたが、「童話」なるものに
とかくつきまといがちな清く美しいイメージは
そのまま作家にまで及びやすく、
ある時はそれにのっかり、
ある時は反発して来たわたしでした。
しかし、それもこの本を出すことで、
猫かぶりの猫をやっとはずせたような気がしています。
とはいっても、この二年半もの間、
ひたすら自分の歩いた道を辿りなおす作業は、結構しんどいものでした。
でも、そのおかげでこの年令まで生きて来て、
どうしようもなく身につけてしまった余計なものが、
喋るにつれて一片ずつ落ちてゆき、
何やらすうっと軽くなった感じです。
ありがたいことに思います。>(「あとがき」より)


『おばあさんになるなんて』→










by uminokosyoten | 2017-05-08 07:02 | 本読み便り