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海の古書店

本のこと、心に浮かんだことを綴ります。香りのお店「Atmosfera」:http://atmosfera-kamakura.com/ お問い合わせ: books@good.memail.jp


by uminokosyoten

海辺の本棚『西日の町』

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遠く離れて瞬き合う星々が
大きな宇宙の摂理で繋がっているような、
そんな家族の物語でした。

祖父である「てこじい」が母親と息子の二人の暮らしに入り込んできて起きるエピソードが
息子の視線で語られます。

家族をつなぐものは何か、考えました。
ここに出てくる人たちがとても羨ましかったから。


父親と娘の情愛の形。
母親と息子の情愛の形。

二つの主題がからまり合いながら、
最初は低く哀しげな旋律が奏でられていたはずでしたのに、
終盤、美しく何ものも及び難い澄み切ったコンチェルトとして響きゆくさまが、
作者独特の比喩を駆使した、
空想的現実を確たる現実として感じさせる文章で綴られます。

家族関係に悩まれましたら、
ぜひ読んでいただきたい作品です。

これから家族を作る方達にもぜひ。



あなたの思っている家族は本当の家族かしら。
柔らかく深く語りかけるこの物語の家族が、
きっとあなたの心にも繋がってくれるに違いありません。




『西日の町』→







by uminokosyoten | 2018-05-30 07:00 | 本読み便り