海辺の本棚『ぼくの伯父さんの休暇』

a0135581_19051114.jpg




装丁に惹かれて去年のブックカーニバルで求めた本です。
先日友人が映画『ぼくの伯父さん』のサウンドトラックを送ってくれました。
その音楽がとても軽やかで心地よいものですから、
改めて開いて読み始めました。


ジャック・タチの映画『ぼくの伯父さん』をもとに、
脚本を担当したジャン・クロード・カリエールが小説として著した作品です。
日本語訳をなさった小柳帝さんとこの原作との
ヴァンプの蚤の市での出会いも物語的です。

ジャン・クロード・カリエールは『昼顔』、『ブリキの太鼓』、
『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』、『存在の耐えられない軽さ』など
数々の名作映画の脚本を書いています。
「書く」という行為の始まりの頃になされたこの作品。
笑いも大きな要素ではありますが、最終章では人生の儚さも匂わせて、
その後の脚本への扉としてとても興味深く思われました。


ヴァカンスの始まりと終わり。
そこには心のあり様に大きな変化がもたらされます。
それを毎年続けることにより人生にもさらなる変化が。

人は集い、そして別れる。
日常と非日常の間に訪れる寂寥感は
私も海街に暮らすようになって強く感じるようになりました。
暮れてゆく日差しの中で、
この本を開くこと自体が一つのヴァカンスでもあるように思えました。

ピエール・エテックスによる挿画も楽しい1冊です。
そして、フランス本の雰囲気をそのままに伝えるおしゃれな装丁に
心からの拍手を。



『ぼくの伯父さんの休暇』→







by uminokosyoten | 2018-04-26 07:00 | 本読み便り