命のこと
2013年 09月 18日
急に秋めいてまいりましたね。
冷たい風に驚くほどです。
今年は大学時代の同窓会の幹事役がまわってきました。
湘南エリアへ1泊の旅。
友人たちと連絡をとりあうなかで感じた事がありました。
若いころにはなかったことです。
年齢を重ねるほどに、体調を崩したり、家族の介護で日々慌ただしく暮らしたり。
「希望」を見失いがちな日常を嘆く言葉が聞こえてくるようになりました。
大病を患っている友人からは「来年を楽しみにがんばるから、みなさんによろしく」との返事。
胸熱くなりながらPCに向かったこともありました。
そもそも「毎年同窓会旅行を企画してほしい」と提案したのが、乳がんから立ち直り教壇に立ち続けている友人でした。
めったに会えないけれど繋がっている「友達」の大切さをより深く思うようになったのもこのごろのような気がします。
「見知らぬ心臓」
雑誌の書評で知って興味を持った本です。
アマゾンでは「2005年に出版した自伝で、17歳のときにHIV感染したこと、34歳のときに心臓移植を行ったことを告白した女優、シャルロット・ヴァランドレイ。
出版から一ヶ月後、彼女は匿名の手紙を受け取る。「私はあなたのなかで鼓動する心臓を知っています。その心臓を愛していました……」。」と紹介されています。
移植された心臓に「心」の記憶がある。
このセンセーショナルな体験を自らのことばで丹念に綴るのは、心身をたいへん消耗する作業だったと思います。
それでも著者が書き続けたのは「生きる」ことのすばらしさを訴えたかったから。
何度も訪れる「心臓」の危機。
その度に冷静に状態を判断しようとする著者の「命」の捉え方は、私にはないものでした。
人間の身体の神秘、そしてそれ以上にドラマチックな人生の神秘。
くずれおちそうになりながら、それでも光を求め続ける著者の姿勢に学ぶものが多くあった1冊でした。
「見知らぬ心臓」◆
by uminokosyoten
| 2013-09-18 10:53
| 本読み便り