ブログトップ | ログイン

海の古書店

本のこと、心に浮かんだことを綴ります。香りのお店「Atmosfera」:http://atmosfera-kamakura.com/ お問い合わせ: books@good.memail.jp


by uminokosyoten

週刊橙書店「黙祷の時間」

週刊橙書店「黙祷の時間」_a0135581_1311587.jpg


この本を読みながら、昔観た映画を思い出していました。
「思い出の夏」。
年上の人とのひと夏の恋。
やがてその人の夫の戦死が知らされて…。
美しい音楽とともに、一途な少年の想いが切なく胸に残る映画でした。

この本には高校生の少年の教師に対する憧れ、その教師のあふれるような輝きと二人の恋の行方が、海辺の町の風景のなかに香るように描かれています。
「あとがき」に、この作品は著者ジークフリート・レンツが81歳のときに発表され、そのみずみずしい感性が高く評価されたとありました。
少年のとまどいとよろこび、そしてそれゆえの深い悲しみが実に初々しい文章で綴られています。
若いころのひたむきな想いへの回帰。
それは今ある自分をみつめなおすきっかけになるかもしれませんね。

若い時の喪失の傷みは、ずっと人生を支配する。
そんな気がいたします。

「黙祷の時間」
お問い合わせは橙書店まで。
by uminokosyoten | 2013-03-31 07:38 | 橙書店