静かな抵抗 言葉の豊穣
2011年 09月 25日



本とは何か?
何をもって本と定義するのか?
詩人平出隆氏は「文藝」の編集を経て自らも本を世に出すほどに、出版界の規制に少なからず違和感を感じてきたと言います。
ある日アマゾンの「出版社」の規定を知り、それまでとは全く違った観点から2010年に「via wwalnuts社」を設立。
封筒に入れて送るという形式で叢書の出版を始めました。
「葉書でドナルド・エヴァンズに」、平出氏を知るきっかけとなった本です。
亡きドナルド・エヴァンズに宛てて書かれた葉書。
昨日の講演会では「亡き人に書くこと」について質問がありました。
それに対して平出氏は今居る人に書くこととあまり気持ちに変わりはなかったと答えていました。
そして葉書や手紙のもつ魅力を次のように。
…書く段階で相手は自分とは違う空間に身をおき、そして相手が読む時点は今とは違う未来。…
葉書が内包する不思議。
装丁家としても高い評価を得ている平出氏は作品の外的変容にも遊びを見つけます。
「切手は消印を押されて汚される事を前提とした美術品」。
汚れた形跡すらも作品の一部。
それは本もいっしょなのだと。
敢えて封書で送るという叢書の形式をとったのは、相手が受け取るまでの時間の物語もまとってとどくというロマンの謎掛け。
まるでアンティークを愛でる心と同じ。
自らの読者を40人と想定して作った叢書。
40人が自分が想像できて、そしてどきどきできる読者の数なのだと。
事実初刷は40部。
それから20部ずつ重刷。
定価777円。
これも文字列の美しさで決めた価格なのだそうです。
していただいたサイン、どこだかおわかりになりますか?
そう、住所の下に小さく綴られた「th」の文字。
ペンケースから表紙絵にこだわって選んだ色のペンで書いてくださいました。
本が好き。
ただそれだけのこと。
でも理由がシンプルなほど、想いは熱くなる。
自由に本を愛するがゆえに静かな闘いをつづけ豊穣のことばを産み出す人は、やはりとても魅力的です。
みなさまも平出さんの本の扉をノックしてみられませんか?
via wwalnuts♣
by uminokosyoten
| 2011-09-25 10:01
| Memo

