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海の古書店

本のこと、心に浮かんだことを綴ります。香りのお店「Atmosfera」:http://atmosfera-kamakura.com/ お問い合わせ: books@good.memail.jp


by uminokosyoten

海辺の本棚『オールドレンズの神のもとで』

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昨日はテーブルの上にこの本を置いて、
そのページを開くことをご褒美に片付けをした1日でした。

書類の整理をコツコツと。
長い間眠ったままになっていた「たからもの」と書かれたファイルを開くと、
知人とのメールの記録や便りが。
20年も前の言葉が波のように押し寄せてきて、
言葉というものにこんなにも支えられていたのだと思い知りました。

午後の時間を費やしてようやく分類を済ませて、
そのファイルはまた「たからもの」として、
今度は時々取り出せるところにしまいました。
大切な想いはその時だけのものではなくて、
これからもずっと私を支えてくれるものだと感じたからでした。
そしてその知人に本当に久しぶりにメールをしてみました。


夕飯後、ようやく本を手にソファーに。
読み始めて幾度も胸が熱くなり、気づかぬうちに夢の中へ。
目覚めた時、やはり本は私の胸の上にあって、
そして深夜にも関わらず、メールの受信音。
懐かしい人からの言葉に
私の20年が決して無駄ではなかったと思えた夜でした。




『オールドレンズの神のもとで』。
18の物語。
初出が2005年の作品も。

まだ読了していないのにお知らせするのは、
おそらくこれからもゆっくりと読み繋いでゆくに違いない本だから。
そして皆様に早く読んでいただきたい本だから。

「杏村から」。
2ページで終わってしまうこの物語に会えただけでもよかったと思います。

心がざわついた時にはぜひこの本を。
あなたの時間が決してあなたを裏切らないことを教えてくますから。

待つこと。
報われることを願わずに密やかに待つこと。
そこにもたらされる穏やかな幸福があると信じさせてくれる物語たちです。




<ほんとうの新鮮さは、
はじめて出会ったものに対して感じるのではない。
もう出会っていたのに気づかなかったことがらとの再会によって生まれるのだ。>
(P.50「果樹園」より)



『オールドレンズの神のもとで』→







by uminokosyoten | 2018-06-13 07:00 | 本読み便り