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フランスの絵本紹介Vol.7 『Boréal-Express』

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フランスの絵本紹介Vol.7
『Boréal-Express』
Chris Van Allsburg

クリスマスの季節になると繰り返される質問があります。
「サンタクロースはほんとうにいるの?」

長い時間をかけて、さまざまな絵本がこの問いに答えてきました。でも、そのほとんどが子供達に向けての答えだったような気がします。けれども、1985年アメリカで刊行された『The Poler Express』は、むしろ大人への「答え」として描かれた絵本のように思われるのです。

主人公の少年はクリスマスイブに不思議な列車に乗って旅にでます。森を抜け、街の灯りを見下ろしながら、やがて列車が停まったのはサンタクロースの国、北極でした。

あわただしく出発の準備が進めらる中で、
やがて少年は子供の代表としてサンタクロースから贈り物を受け取ります。
彼が望んだのはトナカイの鈴を一つ。
(なんて愛らしい願いでしょう。)

ところが、帰りの列車の中で、少年はガウンのポケットの穴から鈴が落ちて失くなってしまったことに気づくのでした。
(本来でしたら、「この先は読んでのお楽しみ」と申し上げるところですが、最後の文章が今回のキーワード。お許しくださいね。)

クリスマスの朝、少年は小さな包みを発見します。

中にはあの鈴が!
振ると美しい音を奏でて。

はじめ、鈴の音をほとんどの友達が聞くことができたのですが、大人になるにつれてだんだん聞こえなくなってしまって。
とうとう妹のサラの耳にも響かなくなってしまうのでした。


ここで最後の文章を原作の英語版、フランス語訳版、直訳の順に並べてみます。

<Though I’ve grown old,the bell still rings for me as it does for all truly believe.>

<Bien que je sois devenu vieux,la clochette sonne toujours pour moi,comme pour tous ceux qui y croient vraiment.>

<大人になってもその鈴は僕のためにいつもなってくれるんだ。鈴のことを心から信じる人にはみな聞こえるんだよ。>

そして、村上春樹氏の訳を最後に。

<ぼくはすっかりおとなになってしまったけれど、鈴の音はまだ耳に届く。心から信じていれば、その音はちゃんと聞こえるんだよ。>

「鈴の音はまだ耳に届く」という表現が美しいですね。


こうやって眺めてみると、どの言語で、あるいはどんな訳で出会うかで本の印象が変わることがわかります。

フランス語を愛する皆様には、たとえ原作が英語であっても、それがどのようなフランス語に訳されているかを知り、そしてご自分の言葉で訳してみられることを心からオススメします。

フランス語版は紀伊國屋書店ネットショップで海外からの取り寄せ注文が可能です。

また、この物語はフランスでもアニメミュージカルの映画として愛されてきたようです。
心躍るシーンをサビーヌ先生が見つけてくださいました。ぜひご覧ください。











by uminokosyoten | 2017-12-13 08:57 | 本読み便り

本のこと、心に浮かんだことを綴ります。アクセサリーの「Brezza Marina」:http://brezzamarina.exblog.jp/ 香りのお店「Atmosfera」:http://atmosfera-kamakura.com/ お問い合わせ: books@good.memail.jp


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