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海の古書店

本のこと、心に浮かんだことを綴ります。香りのお店「Atmosfera」:http://atmosfera-kamakura.com/ お問い合わせ: books@good.memail.jp


by uminokosyoten

夏の図書室「私の課題図書」

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小学生のころから「課題図書」が苦手でした。
でも自分で選ぶことができれば、「課題図書」も好きになれそう。
そこで、私が選んだ2冊は
武田百合子さんの未掲載遺稿集『あの頃』と、




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メイ・サートンの『海辺の家』。


百合子さんの遺言の禁を破って
娘の花さんが『あの頃』刊行の決心をされた理由のひとつに
「私も年なので、しっかりしているうちにしておきたかった」というようなことを
語っていらして、
あの花さんももう65歳になられたのかと感慨深いものがありました。
『あの頃』はひとつひとつ丁寧に長い時間をかけて読んで行きたいエッセイ集です。

百合子さんは心の奥に秘密をもっていらして、
それを誰にもみせずに天国に持っていらして。
その秘密があるからやわらかな哀しみが漂う。
その底知れぬ哀しみが百合子さんの魅力の源なのかもしれないと。




メイ・サートンの『海辺の家』はお客様にきっかけをいただいた本でした。
『夢見つつ、深く植えよ』や『独り居の日記』などは読んでまいりましたが、
こちらは未読でした。
絶版なので図書館で予約して。
この夏は孤独を真っ向から受け入れようと闘った詩人の
つよくてたおやかな人生の記録とともにすごそうと思っています。
小さな小さな海辺の家で。




『あの頃』→
『海辺の家』→





by uminokosyoten | 2017-07-24 18:17 | 本読み便り