
村上龍氏が「限りなく透明に近いブルー」で芥川賞を受賞したとき、私はこの人が政治的なことを口にする作家になるとは思っていませんでした。(私は当時学生でした)
最近の村上氏の活動をみると様々なメディアを通して社会的な事象へのアプローチが目立ちます。
なにがこの人を突き動かしているのかしら。
そう思ってこの本を読み、その理由に少し近づくことができたような気がしました。
35年の間、村上氏の「書く」という立場からの視点は変わらずに世の中が変わってしまったこと。
小説にはならない主題を、それでも放っておけなくなったこと。
おそらくそれは村上氏がこの本の中で言うところの「ヒューマニズム」ゆえでしょう。
本には二つの存在理由があると思います。
「問題提起」と「問題解決」。
この本は前者を担っています。
そして311以降だれもが感じている得体の知れない不安をしっかりと伝えています。
答えを出すのは読み手である私たち自身なのだと思いました。
時系列でならべられた文章は時とともに明らかになって行く事実により変化してゆく内容を含んでいますので注意してお読みくださいね。
「櫻の樹の下には瓦礫が埋まっている。」
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